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【本】 日本のもの造り哲学 藤本隆宏

  • 2007-11-01 (木)

藤本隆宏教授の本は、切れ味が良く読んでいて頭がスッキリする

日本のもの造り哲学は、もの造りにおける日本企業の戦略論。 その背景にある、もの造りへの哲学思想を加味した、読むほどに学べる本である。 失われた15年間にもこのような本が書かれたということは、本当にありがたいことである。

事実を解析的に見る必要あり

日本のエレクトロニクス

20世紀 ◎

21世紀 X

日本の自動車工業

20世紀 ◎

21世紀 ◎

日本の化学産業

大手企業 △

機能化学品分野 ◎

欧州でブランド

シマノ ◎ HOYA ◎ 

資生堂 ◎



雰囲気的悲観論/楽観論であるがゆえに
  過剰反応 マスメディアの不勉強 十把一からげ

大事なことは、区別して認識し、識別して考え抜くこと

収益力と競争力は違う
  もの造り組織能力
  裏の競争力 リードタイム・開発リードタイム・品質歩留まり・生産性
  表の競争力 価格・ブランド・納期・サービス
  収益力

組織能力から見た相性
  学びあう体質 ルノーと日産 ◎
  支配のためのM&A ダイムラーとクライスラー X

現場の組織能力を鍛える
  統合能力 改善能力 進化能力
  トヨタから学ぶことは一杯ある

  トヨタは学習する官僚組織
  TPSは情報転写時間以外はムダとする
  シンプルな経営原則を全員で首尾一貫して実行
  創発的進化能力
  事後的学習能力
  承認図方式
  重量級プロダクトマネジャー
  横展開

  製品とは、設計情報を媒体に転写したモノである
  製造業でもサービス業でも媒体が商品

戦略論の基本 競争するときに考える事柄
  まず、自社のもの造り能力そして他社のアーキテクチャ
  製品のカテゴリーについては
   オープンかクローズドか
   インテグラルかモジュラーか
  組織能力と相性の良いアーキテクチャで勝負
   米国はオープンモジュール型
   日本は擦りあわせ型
   中国のもの造りは擬似オープン
   (見た目、中国は)マーケットサイズは巨大であるしかし、新規参入が多く、先行外資のシェアは低い


もの造りの現場
  アーキテクチャ(製品の設計思想)
  企業は戦略論が不在である
  そのため、収益が高くならない

組織能力
  M. Porter の5 Force Model5ForcesPorter.jpg(右図 Wiki Pediaより)による競争参入
  新規参入
  代替品
  原料供給業者
  製品購入者
  競合

もの造りのアプローチ
  Aタイプ 事前によく研究して勝てる相手を選べば楽勝
        位置取り派 頭を使う戦略論
  Bタイプ 自分が強ければどんな逆境でも勝てる
        組織能力派 体育会系戦略論

自社と顧客のアーキテクチャ組み合わせと収益構造

顧客 インテグラル

顧客 モジュラー

自社 インテグラル

あまり儲からない

自動車、二輪車産業

圧倒的世界シェアがポイント

Intel シマノ マブチ

自社 モジュラー

やり方次第で大きな利益

GEJetエンジン、キーエンス

日本の企業に向かない

DRAM、汎用樹脂、汎用素材



各国の特色分類

米国

知識集約

モジュラー

日本

過剰?

インテグラル

欧州

ブランド重視

インテグラル

韓国

資本集約

モジュラー

中国

労働集約

モジュラー

日本では過去何回かトヨタブームが来ているが、中途半端な学び方で終わっている
  学ぶべきポイントは、 USの戦略と、日本のオペレーションを同時に
  ベストプラクティスを学ぶ
  日本のエクセレントカンパニーに学べ

米国の自動車業界が21世紀に出遅れた理由
   '90年代にモジュラー的なトラック系を中心としたSUV、MiniVANなどが高く売れた
   位置取り、戦略論で大儲け

   インテグラルな乗用車部門は日本に追いつくのに必死だった
   リーン方式採用など組織能力が必要な部分がおろそかになる こちらは結果的に手抜き

トヨタの今後
  変動に強いシステム
  トヨタウエイの海外展開浸透
  多能工 I 複数技術をこなせる
  多能工 II 全体ですべきことがわかる
  国内販売建て直し
  ワクワクする車作り 任天堂に学べ
  アーキテクチャ変動への対応
  あらゆるステイクホルダーから尊敬される
  コスト管理
  先行解決を図りながら、顧客にアプローチが必要

(追記) 日本のエレクトロニクスが、'80年代に「もはや米国に学ぶべきものは無い」と宣言をして、その後はひたすら没落の道をたどって来ている。 これなど、トヨタのあらゆる機会を学習する組織能力を持つところでは考えられない。 学ぶこと、そしてそれを応用すること、常に考え続けることが重要というわけである。

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