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【本-01】 フラット化する世界(06) T. フリードマン

  • 2008-01-02 (水)

上巻が終わり、下巻へと入ってゆく

第二部 アメリカとフラット化する世界
   第五章 アメリカと自由貿易 - リカードは今も正しいか?   (ここまでが上巻)

   リカードが唱えた二カ国の自由貿易は双方の利益になるという考え方は、フラットな社会でも有効かという問題がある。 現状ではサプライチェーンやオフショアリングやアウトソーシングには障壁を設けないほうが米国の大多数の個人の暮らしは良くなると考えている。(米国はINSOURCEがOUTSOURCEを超えている、すなわちよそから仕事を持ってきて稼いでいるのが現状である)
   ここでの論点は、同じパイの奪い合いになるとすると、フラット化は単純に、知的な仕事の奪い合いになるだけであるが、リカードの考え方は、双方にとってメリットが出る状況が生まれるというものである。
   
   事情を簡素化して、次のような考え方をすることができる。
   米国には100人の人がいて、知的労働者が80人/単純労働者が20人 中国には1000人いて、知的労働者が80人/単純労働者が920人だったとする。
   フラット化により知的労働者は160名となる。 その時の市場は、全体では1100名となり、知的労働者たちの競争は激しくなるが、今までになかった新しいものが生み出される可能性も増える。 今までの知的労働者の経てきた歴史が証明している。 しかし、単純労働者は合計で940名となり、この分野はフラットで、流動化が起これば、この部分は競争が激しくなる。 すぐにでも安い労働力へと置き換えられてしまう。 この部分は教育でカバーすることが必要である。

   米国の産業界は、150年前は農業が中心であった。しかし20世紀には製造業、そして戦後、特に最近30年間はサービス業への転換が起こっており、それも今までなかったような仕事が知的労働者達から生み出されている。 リカードの唱える比較優位が、新しい仕事を、冨を生み出して個人に還元している仕組みになっている。 過去のアウトソーシングや製造拠点を海外に移転することにより、会社自身が成長し、海外でも国内でも雇用を増やすということが実際に起こっている。 これは、地域をつないだときに今まで普通に起こってきて事でもある。 カリフォルニアと、ニューメキシコが鉄道でつながったときも、ニューメキシコの経済がカリフォルニアに破壊されると考えた人たちもいたが、現実には、両者が経済的に発展してきている。 自分達の技術を高めて、大きくなったパイの分配を考えて進むことが(経済的な)成功の秘訣なのである。

   第六章 無敵の民 - 新しいミドルクラスの仕事          (以下下巻)

   フラットな世界には適切な知識と技倆と発想と努力する気持があればものにできるいい仕事が山ほどある。 このやりがいのある仕事は楽ではない。 今後フラット化で失われる仕事の大半は、中国やインドへのアウトソーシングではなく、過去にアウトソーシングされてしまう。

   新ミドルクラスの仕事はといえば、偉大な共同作業者・まとめ役、CIOはCheif Integration Officerになるであろう。 偉大な説明役、偉大な梃入れ役、偉大な適応者、パーソナライザー(その人しかできないことを持つ人)そして、偉大なローカライザーたち。 いずれもその人ならではの技倆で生きている人たちである。

   第七章 理想の才能を求めて - 教育と競争の問題

   学び方を学ぶことが教育の根本である。 
   IQよりも重要と考えられるものがある。 CQ(C=Curiosity 好奇心) PQ(P=Passion 情熱)
   人とうまくやること
   右脳を使い、統合的に考えること そして、物語を語り、知性を持つものを創造し、ネットワークを創造できることが重要

   米国の産業政策は、NYSEやNASQAQのような投資市場があることである。 それが既存のビジネスからは出てこないような革新的なテクノロジーに投資することができる。そして、その運用は開かれた社会に必要な信頼を確保することに注力される。 その結果、一般の人もその市場に参加し、投資する流れができる。 信頼という固い基盤は、そのために重要である。

   第八章 静かな危機 - 科学教育にひそむ恥ずかしい秘密

   米国の中等教育以上で、自然科学や工学に進む学生は圧倒的に減っている。 その分インドや中国の学生達が留学してきている。
   一方、MBAの学生達は増えている。 自然科学や工学は、必ずしも面白くない基礎をみっちりやってからでないと、先に進めない。 米国はその部分で苦労を強いる教育を放棄してしまった。
   アウトソーシングの拡がりで、仕事の質は高まり、生産性が上がりコストが下がった。 これは天然資源のない国にとっての人的資源の質の向上と結びついている。 

   教育レベルの高くない人たちには、決して質のいい仕事は来ない。 だから、それらの人たちが意欲的に勉強する仕組みを作らなければならない。 しかし、古くからの制度は、貧しい人たちへの教育にはお金が回らないようになっている。
   インターネットのスピードやコストも米国は遅れている。 フラットな社会における重要なインフラが遅れていることは、仕事の中味にも悪い影響をもたらす。

   まだ、中国やインドにおいては、創造的な研究をするまでの人材は十分ではない。 米国企業はすでに、優秀な人のいるところに積極的な投資をし、研究所を設立している。 
   Inteはロシア、中国、インド、マレーシア、イスラエルに。 企業自身はすでにフラットな世界でのビジネス展開になっている。 

   第九章 これはテストではない

   経済は戦争とは異なり Win-Winの関係を構築することができる。 今後必要な要素を挙げると
   ・変革に必要な危機意識を持つこと そしてリーダーシップを発揮すること。(ケネディが月に人を送り込むと約束したように)
   ・雇用される能力をつけるための教育の機会、社会保障の整備 Cross Trainingも重要
   ・転職後の下がった賃金の補償などのセーフティーネットの拡大
   ・グローバル企業の持続可能な企業活動による、社会的責任の遂行が
   ・家庭内で、子供達に勉強させるしつけの徹底

   これらはすぐそこまで来ていて、インドや中国にとっての将来は、米国を追いかけることとしてみている。 もはや、米国にはさらに速いスピードと、質で教育を進めてゆくことしかのこされていない。 これは(警報)テストではない。

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