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【本-08】 超・格差社会アメリカの真実 小林由美著

  • 2008-04-27 (日)

小林由美さんは、東大経済学部を卒業し、高卒5年目として長銀に採用される 

超・格差社会アメリカの真実.jpg超・格差社会アメリカの真実

 長銀退職後、Stanford大学でMBAを取得し、1982年ウオール街で日本人初の証券アナリストとなる

1985年からサンフランシスコのJSA Internationalに勤務

=         在米28

この本の内容は、データに裏づけられている前半、 考察と小林さん自身の体験からの言葉が現れてくる後半、に大きく分かれるが、私的には後半が断然面白い。

その理由は小林さんの「私見」の入った、米国社会を鏡にした、現状の日本社会への視線が、ご自身の経験を通して語られているから。 この本から、米国の格差批判は容易であるが、日本の現状を考えると、未だ女性の活用ができていない日本の社会の仕組みは、米国の格差の話よりも、もっと根本的な問題というわけである。


 

1.アメリカの階層社会の現実

富の60%が5%の金持ちに集中

この金持ちがアメリカという国を動かしているといって、間違いではない。建国の精神である、自由と平等に揺れ動く米国の政治や社会活動。

2.米国の富の偏在の歴史
金融資産となってからの、格差拡大が激しい。 
ジニ指数高い
大統領も、富裕階級層に注目している。


 

3.1980年代からの富の偏在

古きよきアメリカは1930-1960年代まででしかなかった。

日本の戦後が夢見た、アメリカの豊かさ。

レーガン、軍備拡大が平和をもたらすとした、軍備拡大。
給与所得税を上げ、金融所得の税率を下げた優遇税制。  

クリントン、ITインフラ構築で新経済成長。そして資産の証券化。

ブッシュJr.、石油、軍需産業の利用と、対ユーロ防衛策。

4.アメリカンドリームと金権体質の歴史 
北部「海賊資産家達」の勝利

海賊資本が、工業資本、金融資本へ進出。
南北戦争は、連邦維持が当初の目的。 奴隷解放は、そのための連邦分裂回避の手段だった。

そして、レッセフールの風潮が、新興産業の立ち上がりに有利に働いた。


 

5.アメリカの職業教育とキリスト教 
福音主義の浸透。(強い信仰を持って優れたCharacterに成長した人は、正しい判断を下せる)

教育よりも、信仰。この見解は、以前のブログ「ルート66をゆく」にも詳しい。

6.アメリカの政策目標作成のメカニズムとグローバリゼーションの関係

Stanford大学のフーバー研究所

1970年代からのシンクタンクの創出

3つのPrivate委員会の存在

   CFR=Council on Foreign Affairs 

   Trilateral委員会

   ビルダーバーグ

それらの周囲にあるPivate Equity Fundが、利を求めて政策まで関与している

7.それでもなぜアメリカ社会は「心地良い」のか

オプティミズム

人生は楽しむもの

多様性を容認しているがゆえに

マネジメントは集団の目的を一元化すること

組織は目標を達成するための機関

シリコンバレーの楽しさ

スタートアップの楽しさ

効率性

倫理基準・モラルの高さ

個人の独立性の強さ

クリエイティビティーの尊重 


 

8.アメリカ社会の本質とその行方

経済を唯一の価値として考える国となった

低コストで質の高い教育こそが、経済競争のスタート地点であるべし

翻って日本を考えると

女性の活用が不十分であり

キャリアへ思考や、それを支える社会基盤がまだない

本文中のデータが、Linkが張られているもののうち、日経BPのリンクで繋がらないものがある。 P211 注2
今後の出版では、本自身の更新より、このようなリンクの更新が重要になると思われるので、出版社は注意を払うべきである。

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