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【復刻】 023 インターネットの情報の質 19980208

先週末から、カリフォルニアはずっと雨が続いています。エルニーニョの影響と言われています。低地や地盤の緩いところは浸水や地滑りを起こして、ハイウェイもたびたび寸断されています。さすがに精神的にもふさぎがちになり、あのカリフォルニアの晴天が待ち遠しくなります。雨にはインドアの話題ということで、今回はインターネットで提供される情報の質について考えてみたいと思います。特に最近、日本語のデータで系統的に調べものをしましたので、その時に使った実感も含めて考えてみたいと思います。正直言って、紙の本を質的に超えた、と言えると思います。

市販の本がインターネットで読める!!
今年の正月は、風邪気味だったので家でおとなしくしていました。当然家ですることと言えば、インターネットです。日ごろから気にかかっていたことを片っ端から調べました。日本経済新聞社の連載記事「サイバースペース革命」をゆっくり読むことも、その一つです。これは、日本ではすでに本になっていますが、http://satellite.nikkei.co.jp/ss/cyber/mokuji.htmlには本と同じ内容がすべて公開されています。このページをインターネットで読んでいただくとすぐ分かるのですが、文章中の情報元にリンクが張ったあるのです。これは、紙の本では出来ない業です。この快挙には拍手を送りたくなりました。以前、立花隆さんが著書「インターネット探検」の中でwww.CNN.comでリンクをたどって行くと、一つの記事で本が書けるといわれていましたが、これだけ「情報」が共有され、つなげられると、まさしく一つの体系が出来上がると言うのが良く分かりました。
そして、その情報元から再びその先へとリンクがはられるわけですから、いつまでもきりがないかもしれません。それは巨大な情報のネットワークがいったん形成された後に結果として出来ているわけで、一つ一つの情報がいろいろな組み合わせを持つことによって、それぞれの「見方」を持つことが出来る、と言うことを実証していると思います。私事ですが、日本の本が手に入れにくい海外でのインターネット読書は、とてもありがたいしくみだと思います。それを使える状況で、米国にいる僥倖を感じないわけにはゆきません。

本だけでなく、意見もリンクで伝えられる。
最近、面白いページを幾つか見つけました。Impressの中のInternet Watchにある、団藤保晴さんの「インターネットで読み解く」というシリーズです。
www.watch.impress.co.jp/internet/www/colum.yomitoku/index.htmに掲載されています。今までなら、著者が誌面で意見をまとめて論理を展開するというところから、進められてきました。しかし、このリンクのはられたページでは読む側としては、必要に応じてデータの裏付けや、更にその奥へと進んで行く事が出来るので、大変考え方が理解しやすくなります。これは、同じデータの基づいた、論理での議論を可能にします。私は、これからの日本人に必要な論理に従った議論が出来る可能性を期待しています。インターネットが出現するまでの本や、メディアには無かった機能です。

事実とデータの蓄積こそ、インターネットの神髄
簡単にアクセスできて、しかも公開されるデータで議論の組み立てが可能になるのですから、インターネットの一番重要なポイントは、データに蓄積ではないかと思います。もちろん、事実に基づいたデータが重要なわけで、その事実に基づいた解釈は、一人一人が自分の責任で主張することが可能だと思います。この事実(に基づいたデータ)を共有するという考え方は、今までの人類の歴史で初めてのことだと思います。それが、すでにシステムとして出来上がってしまったわけですから、すごいことだと思います。

CopyrightとCopyleft
このような、データや意見に関しては“Copyright”著作権が発生します。しかし、インターネットでは面白い言葉があります。Copyleftというのです。これは、Rightに対するLeftという語呂合わせもありますが、本質はLeaveの過去形のLeft(そのままにする)という意味で、著作権は主張しないという考え方です。その主張によれば、ひとたびインターネットに載せられると、そこでは「誰でも」「自由に」使えるという考え方です。インターネットの初期から、開発された閲覧ソフトも「公開」「自由」が原則でした。そして、人々は自分のやり方で一つ一つ開発されてきました。今でこそ商業ベースも許容されていますが、そのようなステップの中で全員が一つのまとまりのなかで、個として主張が出来るという世界になってきたのです。これは、「個」がそれぞれに動いて行くことと、個をつなぐ「ネットワーク」という「関係」が重要になってきているということでもあります。いずれにしろ、インターネットの中で、日本語のベースにも事実へ向かう動きが大きく出てきたことは、私にとって新しい発見でもあり、また将来の発展が楽しみな部分です。VirtualとかMultimediaとかも面白い技術に違いないのですが、私には、すべてが事実から出発することがはじめにあって、それらの技術が光り輝くように思えるのです。

米国からWeeklyを出している人が、他にもいらっしゃいました。
このWeeklyのようなことを、やられている方を見つけました。鶴亀彰さんという方で、「カリフォルニア通信」というのを出されています。すばらしい内容なので、是非お読み下さい。
http://www.caravan.net/eis/winds/tsurukame_back.htmlにあります。
この方の考え方、文章の内容、いずれもすばらしいと思います。私も、少しでも近づけるよう研鑚を重ねたいと思いました。それにしても、インターネットの実りを実感できた1月でした。

お知らせ:都合により来週は、Weeklyをお休みにさせていただきます。ご了解ください。

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