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【本】 宇宙人としての生き方 松井孝典

  • 2007-10-06 (土)
タイトルはやや奇をてらっている。 それもそのはず、人類を「人間圏」という集団区分で考えようというわけだから

著者はこの宇宙人としての生き方―アストロバイオロジーへの招待― (岩波新書)中で、人間だけが地球の循環のスピードを変化させ、変えた生物で、その原因は所有と説く。 そして、生殖年齢を過ぎたおばあさんが生存することで、他の生物とは異なる年齢分布となり、その二つの要因で急激な環境変化を及ぼしているという。 人間が地球で持続的な生活をするのは、10億人が限界だという。 そして、「地球に優しい」という言葉がこの限界を意味するということなので、この言葉は注意して使うべきだと説く。 その理由は、今までの人間以外の生物であれば自然の流れに任せて、解決すべき、大きな問題もないので対応できたが、もはや複雑系で視点を宇宙の歴史から持ってこないと、人類の将来を見通すことはできないと断ずる。 もちろん、要素還元的二元論はすでに行き詰まっているし、解決の方法論もまだできていない。 松井氏は先進的に「人間圏」という概念で現在の人類のあり方を研究してきたが、最近ようやく米国でも「アストロバイオロジー」という宇宙生物学の分野の研究が始まり、同様な視点が持ているようになってきている。

松井孝典氏の本を読むのは今回が初めてであるが、「冷徹な思考」で時代を見通している。 物質の循環が生命を発生させ、人類まで進化させたと説く。 そして、分化が今までは進化であったと検証する。 もし人間以外の生物だけなら、地球上の物資移動は(例えばオーストラリアの鉄鉱石が日本にまで移動する)のは自然のままであれば何千万年もかかるが、現在ではオーストラリアの鉱物資源はほんの数日で日本に来てしまう。 このような物質移動のスピードの速さが、現在の人類の歴史の変化の大きさを示している。 すなわち、人類が活動らしきもの(農耕牧畜)を始めて、高々1万年くらいなのに、もはや滅亡の瀬戸際まで来ているのはこの移動速度を考える必要があるという。すなわち、現在の一年は過去の何千万年に相当するわけだから、一万年といっても今までの変化の何万倍の早さになっているわけだ。  

そして最後に、インターネットでつながった人類の将来は、拡散した情報で、エントロピーの極大を招くはずであると考察する。 そうでなければ、インターネット上で、それぞれが分化する方向でしか、進化はない。 その方法は、まだわからない。 人類を宇宙という視点から見る、その発想が宇宙人としてという「思考転換」を要求している。実に、目からウロコの、刺激的な本である。

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