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【本-12】 インクス流 山田眞次郎著

  • 2008-06-09 (月)

産業革命を起こしたきっかけは蒸気機関の発明であった

社会に成果が出るまでには、自動織機の発明が必要だった

インクス流!―驚異のプロセス・テクノロジーのすべて

インクス流.jpg現代に当てはめれば、ITはかつての蒸気機関であり、インフラに相当する。 
産業革命では、自動織機のようにその仕組みを活用した機械が発明され、生産性の劇的な向上へとつながった。

ITについても、それを活用したプロセス技術の開発が、ITの成果をもたらす。
モノ作りの定義が変わった
知的産業革命の到来

これが、山田さんの主張である。

山田さんご自身は自動車のドアリムで世界一を目指して三井金属工業で働く。 

三次元 CATIA 1985から活用 日米で設計データをやりとりし、米国自動車会社に売り込む

しかし、1989DetroitAuto Fact Showで光造形システムとの衝撃的出会い
三次元データから、試作品がすぐに出てくる

未来のモノ作りは現在の物作りの延長上にはないということを直感し、1990年インクス設立

日本の自動車会社が動き出すのは1995年から

しかし、三次元化は進まない

日本の強みが一転して弱みに! 設計職人-試作職人-金型職人
属人的技術が、プロセスの(出せる)スピードを下げている

日本のGDP500兆円の内訳で、金型とそのコントローラの市場は小さいが、産業の要

製造業125兆円
金型産業1兆5千億円
金型生産国内工作機械産業3500億円
工作機械のコントローラー1500億円

90年代の日本は停滞したわけではない

90点の技術が95点に
アジア諸国が急速に92点に

これを打開するには、開発工程二分の一から三十分の一へ変革することが必要

徹底的なIT化のために中枢はファラオというコンピュータを設置

1998年K1システム開発

本社テクニカルセンター TTC設計
高速金型センター K1工場
川崎ソリッドリアリティーセンター SRC試作

三次元化、図面なしを徹底

順調に稼働したが、単発プロセスはOKしかし、注文が殺到すると、納期遅れが発生。

インクスのIT開発手法

アウトプットにより工程をバラす
クリティカルパスの選別
判断がなければ作業

暗黙知がルール化できる

意思伝達の仕組み
単純頭脳労働 

インクスはスピードにこだわる

ITによる生産形態の革命は日本から、しかも若者からしか起こりえない

かくして知的産業革命は日本から始まる

日本でしかできないモノは何か?

アイデア-デザイン
設計データのデファクト化
金型製造データのデファクト化
金型製造工程の元締め

2001年K1からK2へと改良
KATA/NABI
の採用(個別プロセスがどこにいるかを常時監視)
45時間金型

架宇宙、光速、人間の判断を極限までなくす、熟練させない、判断させない、やる気を起こさせない

実宇宙、物理的時間がかかる

IT暗黙知が産業機械暗黙知を超えた?

若者にもっと発言、仕事をさせる、そのための社会的基準は

GNIGross National Intelligenceであるべきだ。

先日TieConでお話を伺ってから、ずっと読みたかった本であった。
このブログでは、こちら

先駆者としての「行き先を指し示す」ことの難しさが、行間から伝わってくる。
野中郁次郎氏との会話の中から生まれた「IT暗黙知は、若者しか持っていない」という下りはうなってしまった。
確かに、新しいモノが出てきたときにも、暗黙知があるわけだから、この解釈は正しいし、その結果がK2にも反映されている。

新しい産業に挑戦する、すばらしい日本人の姿が描かれている。
一度、お読みになることをお勧めする。


PS 20090503 インクスは今年2月に民事再生法申請。 優秀な人を抱えるすばらしい社長さんなので、再起されることを願う。個人的には、昨年シリコンバレーでお会いしたときにもっとゆっくりお話できたらと思ったが。

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