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【復刻】 035 Marketing その2 19980511

先週、マーケティングという言葉についての内容をお送りしましたところ、何人かの方から、「もっとこの件について勉強したいが」というメールをいただきました。浅学非才を省みず、今回はMarketingの現状と今後の展望を、簡単にご報告したいと思います。枠組みと考え方をご理解いただければと考えております。

Marketingの適応範囲
マーケティングについての適応範囲は、Businessと考えれば良いのですが、ではBusinessとは企業活動だけでしょうか。ここに、米国でもMBA教育のトップランクのNorthwestern 大学の教授たちが書いた“Marketing”という本があります。その中で、「Marketingの適応は企業や、法律、会計、医者などのプロフェショナル、NPOのような組織、政府機関や政策にも当てはめられる。そして、Marketingを適用した結果は、よりよい製品をより低コストで享受できて、最終的には生活水準が上がることにつながる」と書かれています。(引用文献は後ろに挙げてあります)
これが、すべてのバックボーンとお考えください。

社会的活動の原点がMarketing
そうすると、社会的な活動はすべて、Marketingの対象と考えられます。そして、目的は社会の生活水準の向上にあることになります。ですから、企業の商品販売もMarketingのひとつではあるけれども、それだけの視点に限らなくてもいいわけです。否、むしろもっと広がりを持った考え方を導入すべきではないでしょうか。すなわち、社会的に活動をしている人は、すべてMarketingと言う考え方で現在の行動を考える必要があると言うことになります。

誰のためのMarketing
では、Marketingは誰のためにあるのでしょうか。先ほどの本によれば、社会の生活水準が上がることを目的とするわけですから、社会に生活する人たちと言うことになります。それは、生活する人一人一人になります。この観点はとても重要だと思います。生活者を抜きにしたMarketingはありえないのです。それは、具体的な言葉で言うと「お客様」を対象としたところからしか、Marketは発生しないと言うことです。

シリコンバレーの活性化はMarketingの適用から
シリコンバレーが不況だった5年前、どうすれば地域を活性化できるかということを、企業、お役所、個人が参加して、いろいろ議論したそうです。その結果、地域の産業の活性化と同時に、Quality of Lifeの向上が謳い上げられて、Smart Valley公社の発足となりました。その活動を通じて、現在のビジネスの仕組みすら変えてしまうような動きをしているわけです。私は、Marketingの結果「自分たちの生活が向上する」ということが明確になったことで、一人一人のやる気も引き出すことができたし、速いスピードで動けたのだと信じています。ですから、これからのいろいろな活動は、いかにして「お客様」と利益を享受できるかということが、必須になるわけです。

お客様って?????
ここで、分からなくなるのが「お客様」の概念です。企業であれば「消費者」です。では、政府は?もうこれは、国民ということになります。ですから、もう一度「国民」の利益と言う立場から見直す必要が出て来ます。

入り組んだ中での「お客様」
しかし、世の中そんなに単純ではないように見えます。なぜなら、Marketingをして、商品を流そうとしている人は、別の場面では「消費者」でもあるわけです。むしろ、比較的簡単なのが「税金を払っている人」はその支払い先に対しては「お客様」であるのです。私の知り合いの方が、San Jose市の市役所の決算報告書の中で、「市民のための仕事という部分をcustomerと表現していまし
た」と教えてくれました。この、考え方こそ皆がよくなるためのもっとも重要な「Marketing Concept」だと思うのですがいかがでしょうか。

間違ったMarketingの例
5/9の朝日新聞を読んでいましたら、全国銀行協会が「西暦2000問題は政府主導で解決してほしい」という要求を出したとありました。理由は、ビッグバンと不良債権問題で銀行は西暦2000年問題には手が出せないので、政府が解決してほしいと言うものです。これは、Marketingの観点から見ると、2つの点で問題があります。1番目は、自分たちの企業が独自で採用したシステムが、自分たちで管理できないと言うことを「公表してしまった」ことです。当然そんな危ない銀行では大変なのでお客はそこから逃げるでしょう。次は、その問題解決のために「政府」を担ぎ出したことです。これは、当然国民の税金を使うことになるのですから、国民の了解なくはできません。そうすると国民を納得させるためのロジックにまた、エネルギーがかかります。これは、行政のコストを高め、国民生活の生活水準を下げることになります。これは、先ほどのMarketingの考え方からしても、国民の利益と反するのではないかと思うのですが、皆さんはいかがお考えでしょうか。


“Marketing” C.N. Parkinson, M.K. Rustomji, W.E. Vieira 
Times Management Pocket Guides ; Fedral Publications  1992  ISBN 981-01-2081-8

 

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