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【復刻】 065 1998年は希望の始まりの年 19981227

今年一年いろいろな事がありました、そしてわかりました。これは良い事か悪い事かという議論でなく、事実として受け入れるべき事柄ばかりだと思います。私のひとつの信念のようなものとして「人生に無駄な事は起こらない」という言葉があります。これは、誰の言葉かは知りません。でもこの言葉の通りが人生だとすると、毎日毎日がすごく充実してくると思いませんか。そして、今までの自分の人生を振り返ってみた時に、少なくとも今はこの言葉が私には真実なのです。この観点から今年を振り返ってみようと思います。

 

米国経済との対比
米国の経済と、日本の経済を比較した時に現在も、随分とその状況が違います。米国は、景気の悪くない企業でも積極的なリストラなどを実施して、まだまだ旺盛な投資や消費を謳歌しています。それに対して、日本は出口の見えないまま、税金の投入が行われています。私は、この違いの要
素を、経済的、社会的、精神的要素で比べてみました。10年前には米国市場を席捲していた半導体が、なぜ今は惨めな姿になってしまったのだろうか、というのが疑問の発端です。では、いくつかを検証したいと思います。

QC思想の展開とNPO
経済的要素を見たいと思います。まず10年ほど前、日本が製品に対してQCを適用して、高品質のものを(しかも安く)作る技術を確立しました。それが、日本人の潔癖な性格とも相容れて、すばらしい製品で世界の市場に、日本製品を大量に輸出しました。それで、現在では日本製品は高級かつ信頼性抜群の評価を得ました。その後、両者何をやってきたかをまとめますと、日本は多機能高付加価値化へと進み、技術至上主義的風潮に入りました。(多機能VTR,ハイビジョンTV,etc)米国はといいますと、会社のQCをはじめました。高品質の会社とは何かという事です。その時にマネジメントを支える思想を、経済学者や、経営学者がどしどし提案していますし、具体的な施策も出てきています。(政府支出の一定枠を、中小企業振興に使う事など)NPOの思想も、会社経営を超えるマネジメントと位置付けられています。あの、ドラッカーも1990年にはNPO経営の仕方という本を書いています。そして、90年代に入ってシリコンバレーの、ハイテクをネットワークでという手法が結実して、現在の状況を生み出したと思います。

ネットワークという信頼社会
社会的要素から見ますと、信頼性の社会という点で、米国の脆弱さあるいは、怖さがあるものの現在は、昔からの地域社会のネットワークがうまく作用しながらインターネットの普及へとつながっていると思います。米国で日本の毒入りカレー事件が起こったかどうか知りませんが、友人や地域でのネットワークは、米国のビジネスを進める上で、とても良いバックアップになっていると思います。信頼の価値が、良い意味で表れていると思います。

他者に手を差し伸べる社会
米国では、いたるところでMay I help you?という言い方をします。お役所も、お店も、親切に言葉をかけてくれます。この、自分が出来る事を他の人にして上げることを楽しむ風潮は住んでみると精神的にとても楽になる感じです。実際は、中味がいい加減だったりする事もありますが、困っている人には大きな励みになります。その意味では、他人に手を差し伸べる社会は、それ自身お互いが快適になる要素を含んでいると実感します。

がんばった日本の若者たち
日本であまり良いニュースの無かった一年だったと思いますが、若者たちの活躍したところはとてもすがすがしかったと思います。長野オリンピック、ワールドカップサッカー、高校野球、プロ野球、アジア大会、どれを見ても実力の世界で生きている人たちは、決して世界に引けを取っていません。そして、今週号のアエラの特集にも30代の注目すべき人たちが特集されています。今までの価値観とは違っているところが、すばらしい可能性を秘めていると思いますし、これからもがんばってもらいたいと思います。また、メール仲間からは15歳の女子中学生の毒入りカレー事件の詳細解析レポート(文芸春秋11月号)を教えていただきました。私も化学者のはしくれなのですが、このレポートの迫力と、その背後にある自分との関連性を追求する姿勢、すばらしいものだと思いました。ともすると、都合が悪くなるとなんでも他人のせいにしてしまう風潮の中、自分とその同世代の人の死を通して解析した手法と内容は、秀逸です。

すべての始まりの年だった
今年はそうやって見ると、決して暗い面だけではなかったのです。むしろやれる事がまだまだ沢山あるというのを実感した年だったと思います。ここで大切な事は、それらは、全て学ぶ姿勢から来るのだと思います。学ぶ事が出来れば、いろいろな違いが見えてきて、そこに一人一人の関わる
事が出てくる、そんな事を確認出来た年でした。

 

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