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【復刻】 099 日本の製造業 20000227

日本の製造業について、考えてみました。要は、強いといわれるようになった歴史です。現在からさかのぼると、とても判りやすいと思います。なぜ、品質という基準を世界に入れることができたのか、その時の日本の状況とあわせて考えると、見えてくることがいくつかあると思います。これはそのまま、未来のわれわれにも当てはまると思いますので、まとめてみます。

日露戦争が、もたらした工業化への足がかり
日露戦争は、日本の工業化に大きく貢献しています。軽工業から重厚業へと大きく進路を変更したのはこのころですし、富国強兵が、国策として定着しました。これは、国内の動きで国際的には不平等条約改正などの、日本の地位向上の動きもでてきました。産業は軽工業から重工業へと変化してゆきます。それぞれに生産性も上がり、工業製品が輸出するレベルにあがってきました。そして、強兵策も着々と進められて行きます。

第一次大戦という特需のとき
第一次大戦という特需があったときの日本の製造業は、まだ規模も大きくなく小さなものでした。私は、小学校の社会科の授業で先生が話してくれたことを、今でも覚えています。それは、ヨーロッパ戦線に日本から送った食料品の缶詰の中味に石ころを入れていた業者があった、ということです。実際には、原料が生産に追いつかずに不足した分に対して行われたようです。子供心にも、その缶にめぐり合わせてしまった兵隊さんのことを考えると、ひどいことをするもんだと思ったことがあります。ですから、ついこの間まで日本製品=劣悪と世界に言われていたわけです。メイドインジャパンとして製品の評価が高くなってきたのは、考えてみれば、ほんの30年ほど前の話なのです。私は、その日本が開発し商品の品質管理を、世界中の国が学び取ってしまったことに、驚きを禁じ得ません。世界の共通標準を日本が作ったことと、高品質低価格を定着化させたことです。

マーケッティングのあった製品、ない製品
そのような状況で、日本は太平洋戦争で敗戦となります。そのあと、製造業を中心に据えて、戦後の工業製品の繁栄を迎えます。製品は、鉄鋼や家電製品、自動車でした。いずれも、すでに市場があるものに対して、製造効率の高さと、価格の安さを武器に、参入しています。私は、このポイントをもう少し考えるべきだと思います。すなわち、すでにあるマーケットに対して、後発で入っていったということです。このことは、後発の有利さである、市場形成の努力なしに市場に参入するということです。これに対して、トランジスタラジオは、日本が市場を作りました。あるいは、VTRデッキもそうでした。これらのものは、文字通りぶっちぎりで世界市場を席巻しました。とうじ、組み立てからすべて一貫して国内で行われていたのですから、今思うと隔世の感があります。

部品の製造技術は卓越している日本
部品については、日本の製造技術は卓越しています。それを、日本の強さだという見方もできますが、最近のロケットの打ち上げ失敗事例などを見ていると、部品の良さも必ずしも保証されなくなっているように思えますし、さらにシステムとしての技術は、とても弱いのではないかと思えます。
これは製造業としては、将来きついと思います。金融システムなどという言葉も、システムの弱さを表しているような気がします。

システムという思考
これは、どうも民族の持つ視野の広さの限界であるように見えて仕方がありません。いろいろなもので問題が起こると、その場しのぎの対応でやり過ごしてきたのが多いのではないでしょうか。
シリコンバレーの発展の歴史で言えば、トランジスタという素子から始まって、IC集積回路へと行き、その次はパソコンというシステムに行き、それらをつなげるネットワークへと進んできました。サンマイクロや、シスコシステムが出てきたのはほんの15年ほど前です。それが、90年代になるとYahooのようなネット上でのビジネスへと広がり、ハードウェアからソフトウエア、しかもインターネット上でのビジネスへのシフトが起こったわけです。日本でもこれからは携帯電話がそのコネクションになりそうな気配もありますが、これとてもインターネットの応用のひとつで、独自の商品開発などはまだまだこれからという感じがします。あとは、情報家電という分野がありますが、これこそシステム思考が必要な分野です。多分今後は、システム同士の開発競争ということになると思われます。その中でも、巨大システムを使いこなした国との差は、大きいものがあります。こんなことを考えてみると、日本は、目先のことの対応も重要ですが、システムで考えるくせをつけないと、木を見て森を見ず、ということが起こってしまうような気がします。そして、社会全体がその意識を持たないと、システムは組みあがらないような気がします。

ビルゲイツの仕事を見ていると、Microsoft Officeというのは今までのオフィスでの仕事を、システム化したところにあると思います。私は彼を評価するのは、その部分です。価値というのは、必ずしも独創性ではない証拠ですし、それがシステムというものの持つ価値であることを証明していると思います。

 

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