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【復刻】 110 マネジメントと管理 20000617

マネジメントという言葉ほど、なじみがある割には意味がはっきりとしていない言葉はない様に思う。通常日本語に訳されると、経営とか、管理という言葉になるが、まず、経営と管理とは大きく意味が異なる。経営は目的であり、管理は手段というのが大きな違いで、この差が日本語での使われ方に大きな違いを発生させているように思う。ITの利用や、Win-Win思想が主流となった現在の状況から考えて、どのようにマネジメントあるいは、管理というのを考えるのが好ましいのか、考察する。

管理と訳した場合
マネジメントを管理と訳した場合には、管理する対象があることになり、それを効果的に管理することが、マネジメントをうまくやることと同義になる。これを組織の中でやると上位者が下位者を管理するパターンが一般的になる。それは、指揮系統でいえば、命令・従属の関係を意味する。そこでは、個人の「地位」が権力の強さを表し、それを最大限発揮することが、優秀な管理者という評価につながる。そして、下位者に対して上位者は優れているという立場に立っていることになる。
これは、縦社会の中での管理として考えるとわかりやすい。すなわち、軍隊のように常に上位者が下位者の命令を下し、しかもそれが絶対という形になっている場合が、典型である。ここでの管理は、上位者が文字通り、生殺与奪の権利を握っているといえる。

マネジメントが目的であるということを考えると、先ほどの管理というのは、かなり限られた世界でのみ効果的なことがわかる。すなわち、決断を下すのに時間が取れない場合とか、絶対権限のもとでの組織行動が、それに対応する。これこそが、縦社会が持ってた本質のところであり、上からの命令は間違いが無く、そして下はそれに従うことでその責務を果たす関係である。マネジメントの目的が、最上位者の目的達成になるのが、一番効果的になるケースである。

少し視点をずらして、組織それ自身に目的があり、組織の最上位者はその目的を達成することが使命だと考えてみる。そうすると、最上位者の考え方は前述のケースに比べて大きく変わる。最上位者個人が持つ目的と、組織の持つ目的とが必ずしも一致しないからである。そのときに起こるのは、いかにして組織の目的を遂げるかという、自分と離れた客観的な対象に向かって組織を運営して行くからである。そのときに、最上位者は組織の目的を達成するために、命令をするのが一番効果的なのか、それともやり方を変えるほうが良いのか、判断を迫られることになる。

このときに重要になるのは、組織としての最大限の力を発揮することである。個人の目標だけで動く組織も力を発揮する場合もある。しかし、世界の大企業と呼ばれる組織は、個人ではなく会社の目的で動いている。これを達成するためには、いくつかの仕組みが必要である。組織としての目的が明確であり、そのときの最上位者に、しっかりと理解されること。そして、その目的のために、組織の全員が力を合わられるようにするのが、最も重要なことになる。実はそれがマネジメントの本質部分である。つい先頃までの管理は、上位下達を徹底することであった。しかし、組織の目的を達成するためには、現在はたくさんの方面の力を借りなければならない。すなわち、製品を売り出す場合を考えてみても、製造技術は当然のこととして、技術開発や、マーケッティング、販売、そして社員の福利厚生などもすべて、目的のために協力し合わなければならない。そこで出てくるのがマネジメントである。自分の部署だけであれば、管理という形でも動かすことは可能である。しかし、他部門にもまたがった部分を扱うことができることを期待されているのが、マネジメントなのである。だから部下だけを見ている管理者という言葉では、現状の仕事を表すことができない。

信頼とネットワークが重要なキー
先ほどの縦社会が、現在は限られたところで機能しているのに対し、組織からのつながりはますます横へと広がっている。これはインフラとしてのインターネットの利用が組織の枠を越えながら進んでいることと、現代の組織の運営は、個人の判断だけでは限りがあるため、積極的に外部からの情報や、支援を受け入れる仕組みにしているためである。すなわち、個としての広がりが具体化している結果だと考える。そして、目的を達するためにそのような広がりを活用するには、信頼という基本関係が重要となる。本当に目的を共有できて、その目的に向かって進むことを考えると、信頼に基づいた、ネットワークこそが重要であることがわかる。

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