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【復刻】 115 スポーツとビジネス その2 20000722

スポーツとビジネスという視点でものを考えてみると、個人プレーとチームプレーを分けて考えなければならないことがわかる。個人プレーの種目は、個人経営のビジネス組織であり、これは顧客と株主と、経営者の関係さえきっちりできれば、機能する形に似ている。そして個人の資質や努力ががそのまま成果に反映されることが多い。組織プレーを考えると、これは通常のチームプレーで行われるスポーツに相当する。チームプレーは多くの場合、監督がいて選手がチームを組んで、相互に競い合うと言う点でどのスポーツもかなり共通していると考えられる。そうすると、個人とチームの関係や、チームと株主、社長、社員などの関係を明確にすることが、そのまま仕組みの比較になる。ここでは、組織の役割を考察することを目的として、プロのチームスポーツについて検討してみることとする。また、スポーツで成果をあげるためにしなければならないことを考察することは、ビジネスをする上で必要なことを見定めるために、大いに役立つことがわかる。

 

まず、ビジネスの基本である、お客、株主、社員を考えてみると、お客はスポーツの観客、株主はスポーツ団体のオーナー、そして社員は一人一人の選手ということになる。これはあまり異論無く見える。では、社長と事業者は同じだろうか。スポーツチームと言う意味では社長は監督に相当すると考えられる。事業主はというと、オーナーと言うことになる。すなわち、オーナーはCEOに相当し、監督はCOOになると言うわけである。たとえば、チームの合併や売却などと言うことを決定するのはオーナーの仕事であり、監督の仕事ではない。つぎに、選手の役割を考えてみる。ビジネスでは、社員がその役割に相当する。社員としていかに、能力を発揮するかそして、自分として最大限成長して行くかということが、もっともチームの貢献できることになる。選手一人一人の技術は、監督やオーナーを凌いでいることは、当然である。

機能から見た、社員、社長、事業主
社員を率いる社長の役割は、チームを勝利に導く監督と同じで、非常に重要である。この時に、スポーツの世界とビジネスの世界は、面白い対照性がある。スポーツの世界では監督は選手に個々のプレーでかなわないのである。その選手を評価、指導するわけだから、並みのリーダーシップではやって行けない。それに対し、ビジネスでは、やはり社長は社員を評価、指導するわけだから、同じように、技量、リーダーシップが要求される。個々の社員が優れているほうが全体の戦力が向上するし、組織全体としては活力を生み出すはずである。逆な言い方をすると、社員の個人能力の限界が、組織の限界と言うことと同じである。

チームプレーと和
ここで、日本では今だ不思議な尺度が登場する。「和」という尺度である。この行為はチームの「和」を乱すとか、チームプレーは「和」が大切だとか、このロジックが、不思議なのである。「和」が大切だとかいう理由はいろいろ考えられるけれど、成果(勝負)を目的に組織(チーム)が組まれていることを考えると、これは、目的外の尺度である。先ほど述べた、社員のほうが社長より個々の分野で優秀であることは、組織の機能が大きく向上することである。この認識があるとすると「和」というのは、組織やチームを運営する側の勝手な期待であり、本来求めるべき成果と異なった尺度になる。これにこだわりつづけると、事業目標とずれていることから、チームは弱体化する。

CEO、COOの役割
CEOはビジネスであれば、組織の運営に責任を持ち、組織に成果を要求する立場である。その一方、COOはそれを具体化して成果に結びつける役割を持つところである。あくまでも、機能としての役割が重要で、いずれも明確な目標に向かって進むところは、スポーツと同じである。あえて、スポーツと異なるところを挙げるとすると、ビジネスには階層構造が存在して、多くの場合、上下関係が存在することである。すなわち、上司の命令は、社員が従わなければならないことになっていることである。多分、COOと社員が、直接的につながっている場合には、ビジネスとスポーツにはそのチームの構造や、運営に大きな差は無いと思うけれど、階層が発生するところで、様相ががらりと変わる。次回は、ここの部分をいかに速く動かすかで、ビジネスのスピードが変わることを検証してみたい。


 

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