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【本-14】 ウェブを変える10の破壊的トレンド 渡辺弘美著

  • 2008-07-07 (月)
破壊的トレンドとは、クリステンセンの言うところの、破壊的イノベーション(企業)が、既存企業を崩壊させ置き換わる流れである。

ウェブを変える10の破壊的トレンド.jpgウェブを変える10の破壊的トレンドは、現在興っているWeb2.0 の変化を「破壊的」と位置付けている。

この解釈は、基本的なところで非常に重要である。 クリステンセンの著作の画期的なところである「破壊的なイノベーション」が、既存の大企業を倒してしまう可能性があることを示唆しているからである。 

例をあげよう。 新聞は広告媒体として「クラシファイド」と呼ばれる、カテゴリー別の広告枠を持っていて、地域ごとにそれなりに売り上げてきていた。 しかし、インターネットの普及とともに、広告は激減し、今や新聞の存在が危機にひんする議論すら始まっている。  わがシリコンバレーのSan Jose Mercury Newsは会社のレイオフの際に、新聞業界の上位50社のうち、19社が赤字であるという、内情を公表した。 

かつて、検索エンジンの会社であったGoogleは、今や会社の時価総額と、利益額で、どこの広告会社よりも巨大になった。 それもこの10年に起こった出来事である。 それまで、他の大企業はどうやったのだろうか。 M&A、技術の取り込み、共同でCM放送ウエッブの立ち上げなど。 しかし、それらをやっても、破壊的イノベーションは、まずは大企業が狙わない、中小や個人の広告主から、広告料を徴収する。 その行動では、大企業からのプレッシャーはほとんどない。 (一部のMedia Majorによる買収は、大企業のできる数少ない選択肢の一つである)

それがすむと破壊的イノベーションの会社は、ひたひたと、大企業が持っていた顧客を侵食してゆく。 このときに、大企業が気がついても、対抗策は社内にはない。 今でも時々話が出てくる、MicrosoftのYahoo!買収は、内容がこれと近い。 多くの場合、大企業は座して死を待つことが多い。

私は1995年から米国で、インターネットの普及と、ビジネスへの活用を見てきて感じるのは、それでも米国の大企業の経営者は、技術をよく勉強し、投資価値(ROI)を常に注意している。 これは1990年代のIT関連投資のときでもそうであった。 元の取れる投資しか考えていないのである。 それでも、その経営者が優秀であればあるほど、破壊的イノベーションは、やすやすと企業を崩壊させる。

この本の著者は元JETRO NYの駐在員。 2004-2007までの間で、これだけ情報発信をして現在は日本に戻っているそうだ。 この破壊的イノベーションの恐ろしさが分かれば、このような人に長く米国の動きをみさせて、日本の今後の行動に向けてのスペシャリストにするのが、一番いい役割だと思うが、どうであろうか。

現時点で、たとえどんなに優秀といわれる人でも、腰かけで仕事のできるような国際ビジネスはない。 スペシャリストが、現地に入り込んで情報を得て、そこから発信し、現場としてビジネスを一緒に担うことが日本に一番必要なことだと思う。 巷に言われる「パラダイス鎖国」に対しても、現地の情報が一番重要であろう。 江戸時代、長崎にあった出島は、幕府のお目こぼしの海外情報収集所であった。 今の時代、インターネットでの発信でかなりな部分ができるはずであるから、要はふさわしい人を必要な場所に配置することである。

この本に掲げられている会社やサービスなど、自分で当たるとWeb2.0が、身近で起こっていることがよくわかる。 みんなで楽しんで考える「進取性」だけは持ち続けたいものだ。

破壊的イノベーションについては、この本の大前提であるが、20世紀に経営学がScienceになった例の一つだと思うので、今後紹介をしてゆきたい。

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