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【復刻】 029 ネットワークと信頼関係 19980330

シリコンバレービジネスでは、ネットワークという言葉が良く使われます。そしてこの言葉を軸にして成長を続けていると考えていいと思います。この言葉の中には、コンピューターや、インターネットによる「物理的」なネットワークと、「人間的」なつながりによるネットワークと、両方含まれています。10年前でしたら、会社にはネットワークが導入され、社内の「物理的」ネットワークで仕事を進めることができました。しかし、会社のような大きな組織に属さない人は、「物理的」ネットワークの中には入れませんでした。しかし、インターネットの普及に伴い、組織に属さない人でも、容易に「物理的」ネットワークに入る事が出来るようになりました。このことは、仕事の取り進めについても、いくつか変化をもたらしています。その理由は「人間的」なつながりと、「物理的」なつながりができると、「組織的」な行動が取れるようになるからです。会社という組織から見ると、社内と言うネットワークのほかに、会社外との「物理的」「人間的」広がりを意味します。逆に組織には属していない人から見ると、組織として存在している「会社」の「人間的」な部分を取り込んでいる事になります。

 

組織の根本=信頼
シリコンバレービジネスでの大きな特徴は、新しい事を「自己責任」で始める人が多い事でしょう。単にはじめはアイデアだけであっても、他の人に理解してもらい、仲間を募り、そして事業をスタートしてしまうのです。これは、手順を考えて見るととんでもなく大変な作業です。それは、信頼できる仲間を集める事が、普通では大変だからです。しかし、ここにネットワークが登場するのです。シリコンバレーの人間は、情報に敏感です。最新の情報は現場で仕事をしている人が一番良く知っているわけですから、現場の人間に聞くのが、一番早くて確実なのです。そして、人間関係が「友人」というレベルになると、ほとんどの情報は筒抜けになります。これは、会社の秘密についてもあてはまります。NDA(秘密保持契約)を結んでも、個人レベルでの話の中には、出てきてしまいますし、それを防ぐには、漏洩したときの罰則などを明確にしておく必要があります。ここで申し上げたいのは、個人のレベルでは、その人のもつネットワークのほうが会社と言う組織のネットワークよりも「優先」している事だと思います。このことは個人と組織の関わり方として、大きなポイントだと思います。その個人を仕事に集中させるのが、会社の経営者の役割となります。

個人と会社の調和
シリコンバレーのように情報の流れと個人の動きが速いところで、会社は組織として、どのように個人と関わっているかを見るのは、次の時代の個人と組織を考える上で、重要なポイントだと思います。多分、その中で個人と組織をうまく調和させているのは、Hewlett Packardという会社ではないかと思います。1938年にStanford大学のTerman教授の援助のもとに創設されたこの会社は、常にシリコンバレーの成長の中心にいます。年間売り上げ5兆円、従業員数12万人を超える現在もベンチャースピリットを失わない会社として、次々と新しい事業を成功させてきています。最近ではWindowsマシンでパソコン市場への参入を始め、成功させてきています。1997年の実績ではマーケットシェアは5%で第4位です。(Compaqが1位でシェア12%、IBMが2位で9%、Dellが3位で6%です-Data Questの調査による)
そのHewlett Packardにはいくつかの面白いルールがあり、これはすべて、社員を信頼して組織が動くと言うものです。また、社員が何かを始めたいと言ったときには、それを止めさせる正当な理由が無ければ、誰もそれを止める事は出来ない、という事までいろいろあります。要は、どのように個人を活性化して、その人の「持ち味」をビジネスの中に生かして行くかと言う事にまとめられると思います。日本でも前川製作所が比較的近い考え方を持っているように思えます。いずれにしろ、一人一人が組織と関わる中で、従来の会社と言う閉じたネットワークから、社会全体へのネットワークへと変化する事を前提として、考えて行く事が必要になります。

信頼はコストを下げる
米国では、地域に根ざした活動が盛んですので、人間関係のネットワークはいろいろなところにあるようです。学校、職場はもちろん教会やボランティア活動など、人々が触れ合うチャンスは沢山あります。その知り合いの中で、ビジネスやいろいろな活動のメンバーを探す事も普通に行われています。この事は、人のネットワークが組織機能の一部(採用)の役割を果たしている事になります。それは、企業経営の観点では、コストを下げる働きにもなるわけです。これが採用のすべてではありませんが、会社再建に成功したIBMの現社長ガイスナー氏の選任なども、社外のネットワークからの情報による決定でした。このようにネットワークが機能する事で、質が向上しコストが下がると言う事もいろいろな場面で具体化してきています。

人間的要素はネットワークでも重要
これからネットワーク化された社会と言われますが、根底としてはお互いの信頼関係から成立すると思います。私は、これからの社会では、むしろ人間の生き方まで含めた情報がやり取りされるようになると思います。その時には、個人としてネットワークにどのように対応するかと言うことも大切ですが、それよりむしろ個人として何を考え、どのように生活をしているかと言うほうが、さらに重要だと言う気がします。

Hewlett Packardについて書かれた本には次のものがあります。
 日本的経営を忘れた日本企業へ /校條浩、本荘修二/ダイヤモンド社

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