【復刻】 106 仲間作りのすすめ 20000614

米国社会が個人主義社会であるのは間違い無いけれども、それは決して個人の孤立を意味していない。むしろ日本の社会のほうが、個人が孤立している感を受ける。これは地域や友人のネットワークを比較してみると実感する。すなわちこうである。日本の社会の大部分を構成する、サラリーマンの人たちの行動を見ていると、地域や友人ではなく、所属するところに自分の時間を費やしている。今でこそ少なくなったが、バブルのころはそのような人々でにぎわったサービス産業も数多くあった。助け合うことで個人の枠を越えた大きな力が発揮されることはしばしば見出される事実である。今回は、これからの時代に発生するネットワーク型のつながりの中で、個人としての関わり方を考察してみたい。題して、仲間作りのすすめである。

助け合いのパターン
何らかの縁でネットワークは発生するので、個人の立場ではそれなりの理由が見出される。一概に助け合うことが目的とは限らないが「まさかの友が、真の友」ということわざのごとく、何らかの意味で、助け合いに絡むのがネットワークの本質のひとつであろう。その中で、ネットワークの目的とするパターンを幾つかに分けると、ネットワークそれ自身に意味を見出すもの、参加者の拡大を目的とするもの、利益を目的とするもの、そしてお互いの成長を目的とするものなどがある。これらを、ひとつひとつ考察してみる。

ネットワークそれ自身が目的なもの
友人が増えれば言いという考え方の基づくもので、今すぐには明確な目的は無いけれども、つかず離れずで維持される。ゆるいネットワークで、卒業してからあとの同級生などのネットワークがそれにあたる。これは、すべてのネットワークの基礎になり、何か目的が発生したときには、新たにその目的のための再構築の動きを起こすことがある。

参加者の拡大を目指すもの
これは、団体としての動きとつながっている。産業界での規格統一などは、このような数の拡大から始まる事が多い。デジタルテレビの企画や、携帯電話の国際規格の統一など、グローバルなものからローカルなものまで、その数は多い。これは、社会を動かす事を目的とするとも言える。

利益を目指すもの
これは、企業と言う形態で今まで認知されてきた。従来のものが、ひとつの企業体の中で閉じていたのに対し、現在は、ネットワーク型に転換しつつある。すなわち、従来は資金を持つ人間がすべてをコントロールしたのに対し、現在現れているのは、資金の提供者はその役割に徹し、経営、販売、研究開発などはその道のプロに任せる形態を取り始めている。これは、従来のものに比べて、質の良いものを確保できるメリットと、ネットワーク関係が不安定になると言うデメリットがある。

お互いの成長を目指すもの
これは、学校や社会の教育機関がそれにあたる。しかし、現在の状況では時代の大きな変化に伴い「教育」と言うことが、難しくなってきている。すなわち、現在の新しい状況や技術を以前教育を受けた人が教えられなくなってきていることである。これは、パソコンを考えれば良くわかる。すなわち、教えるべき人より、若い教わるべき人のほうが、使いこなしてるし、従来の教育では教えてこなかったことを、先生が教えると言う状況になってしまった。日本の大学のランキングは先進国で中でも最低の部類に入っているのは、このような社会の動きに対する、大学の対応が遅れ、時代に合わない教育をしているというのが、ひとつの大きな理由である。それを避けるためには、お互いの持ち味を発揮できる「相互研鑚」あるいは「成長支援」の仕組みがどうしても必要になる。そのためには、一人一人が社会的へ積極的にかかわることが、重要となる。

一人一人が考える大切さ
このような社会の状況で、一人一人が考え、行動することは必須のことである。それを早く、そして有効に進めるためには、仲間が必要になる。そのために仲間作りをして、大きな動きを作ることが大切である。時代は過去の尺度では測れなくなってしまっている。その中で、個々の問題に対して判断し行動するために、同じような問題意識を持った仲間こそが重要な解決手段足り得ると考える。