- 2008-07-13 (日)
広告業界で活躍している方々の対談を中心にまとめた本。 これが実に面白い「日本の縮図」

この本では4名の方々が中心になって、対談を中心とした話が進む。 出てくる4名の方々は
織田(おりた)浩一氏(米国シアトルで広告ビジネスコンサルタントとして活躍) Blog
高広伯彦氏 博報堂、電通を経て2005年12月からGoogle Blog
須田伸氏 サイバーエージェント Blog
湯川鶴章氏 時事通信編集委員 Blog
皆さん、それぞれにBlogでの発信をしている方なので、この本にまとめられた事柄は、エッセンスの部分かもしれないが、対話がそれぞれの立場をしっかり主張していて、面白いのだ。それも、日本の置かれている状況そのものだと私には映った。
それを補完する、次世代広告の人たちの話も出てくるが、この4人の話は、まさしく日本の広告業界の代表なのである。
織田さんには何度かお会いしているが、湯川さんとはお目にかかっただけ、ほかの方々はお会いしたことがない。
前半の座談会と、個別企業の手法紹介など、それぞれの方々の個性が反映された構成になっている。
私が特に面白いと思ったのは、後半の座談会でマスコミの湯川氏が、「Googleと電通はどちらが広告を凌駕すると思いますか?」という質問をする。
すると、高広氏はそれを受けて「二項対立という考え方を持ち込むと、みなさんの発想を狭めてしまいませんか」と返す。(本文P.207)
さらに高広氏は「電通も博報堂もGoogleのアドワーズのお客です。」(だから勝ち負けではなく、相互繁栄しかない)という
ここが、日本の発想の縮図だと私には思える。 マスメディアは、ビジネスにおいて勝ち組負け組の考え方にとらわれすぎて、ある断面での評価しかしていない。
(例をあげれば、船場吉兆や赤福など数年前にはメディアがこぞって賞賛していた。 それが別の時点では突然のように廃業まで追い込まれることもあるわけだから、あるスポットでの勝ち負けなど何の評価基準にならないということである)
広告という分野が、Googleが参入したことで、「俄然!」科学的になり、実証的になり、統計的になり、そして広告のパイを広げたのである。 Longtailを扱うようになったということはそういうことを意味する。
パイが同じ大きさであれば、奪い合いは「勝ち負け」になるが、パイを広げれば「お互い勝ち=Win-Win」が可能になる。 シリコンバレーの起業家たちが「腐心して作り上げた仕組み」である。
この「巨大な変化」を意識しないで、勝ち負けだけを見ている視点は、不勉強のそしりを免れまい。
この本は、日本のマスメディアと広告業界のメンタリティーを我々がどう受け止めるべきか、大いに参考になる。
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